シェフが教える、家庭でできる本格アクアパッツァ
白身魚の旨味、トマトの酸味、オリーブの塩気、そして香草の香り。
一皿の中でさまざまな味わいが絡み合う「アクアパッツァ」は、イタリア・ナポリ発祥の郷土料理です。
シンプルながらも、まるでレストランのような華やかさが食卓を彩る、まさに“おもてなし料理”の代表格。
今回は、そんなアクアパッツァを「ご家庭でも簡単に、本格的に」作る方法を、現役シェフが伝授します。
アクアパッツァとは?
イタリア語で「狂った水」という意味を持つ、ちょっと変わった名前のアクアパッツァ。
白身魚をオリーブオイルとにんにくで焼き、そこに水・白ワイン・貝類・トマト・オリーブなどを加えて煮込むだけの、驚くほどシンプルな料理です。
イタリアの漁師が、朝獲れの魚をその場で豪快に煮て食べたことが起源と言われています。
その豪快さと素材の旨味を最大限に引き出す調理法は、日本の“煮つけ”にもどこか通じるものがあります。
シェフのひとこと:
「アクアパッツァは“素材を信じる料理”。余計な味付けをせず、海の恵みと野菜の旨味を活かすのが最大のコツです。」
家庭で作るなら、この魚!
本場ではスズキや鯛が使われることが多いですが、家庭で作るなら入手しやすい以下の魚がおすすめです。
- 真鯛(切り身 or 一尾):淡白で上品な味わい。特別な日に◎
- タラ:冬場にぴったり。身がふわっと仕上がる
- カサゴ・メバル:頭ごと煮込むと出汁が濃厚に
- アクアパッツァ専用冷凍キット(※通販で手に入る便利なセットも)
また、殻付きのあさりやムール貝を加えると、魚の旨味に深みが増し、本格感がグッとアップします。
材料(2人前)
- 白身魚(切り身 or 一尾):2切れ〜
- あさり:200g
- ミニトマト:10個
- オリーブ(黒または緑):10粒
- にんにく:1片
- オリーブオイル:大さじ2
- 白ワイン:100ml
- 水:100ml
- パセリ・バジルなどのハーブ(お好みで)
- 塩・こしょう:適量
作り方:シェフのポイント付き
- 下ごしらえ
魚に軽く塩を振って10分置き、水気をペーパーで拭く(臭み取りのポイント!)
あさりは砂抜きしておく。 - 香りを引き出す
フライパンにオリーブオイルと潰したにんにくを入れ、弱火で香りを立てる。
シェフ曰く「にんにくは焦がさないように、じっくりとが鉄則。」 - 魚を焼く
中火にして魚の表面をこんがり焼く(この焼き色が旨味の鍵) - 蒸し煮にする
白ワイン→水→あさり→トマト→オリーブを加えてフタをして蒸す。
貝の口が開いたら完成間近。魚に火が通ればOK。 - 仕上げの香り
仕上げに刻んだパセリやバジルを散らせば、まるでプロの仕上がりに。
ワンポイントアドバイス
- トマトは潰しながら煮るとソースに自然な酸味と甘みが出ます。
- オリーブがない場合はケッパーでも代用OK。
- 仕上げにレモンを絞れば、味に締まりが生まれます。
食卓が華やぐ“非日常”
アクアパッツァの魅力は、なんといっても見た目の華やかさと香りの豊かさ。
フタを開けた瞬間、ふわっと立ち上る海の香りとハーブの香気。
テーブルに置けば、それだけで「今日は特別な日」になります。
家族の夕食に、友人とのホームパーティに、誕生日や記念日のディナーに。
レストランに行かなくても、“ちょっといい時間”が味わえるのが、アクアパッツァの魅力です。
最後に
忙しい毎日でも、料理は心を整える“ひとときのリセット”になります。
シェフが教えるレシピを通して、ちょっとだけ非日常を食卓に取り入れてみませんか?
美味しさだけじゃなく、彩り・香り・会話までも豊かにしてくれる一皿。
今日の夕食に、「本格アクアパッツァ」を。